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仕事を終えた帰り道、ふと空を見上げると三日月が出てい
ました。ずいぶんあたたかな夜で、帽子を店に忘れてきてま
うほど。
「今度こそ春だ」とひとりごちてみると、どこからかあの、甘く
濃い香り。沈丁花の花の香りです。
うれしくなって、いっぱいに香りを吸い込んで、また自転車を
走らせました。
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『はなを くんくん』 ルース・クラウス文 マーク・シーモント絵
きじまはじめ訳 福音館書店 1050円
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ゆきの中、森の動物たちは眠っています。
木のなか、つちのなか。
すると、どこからかいい香りが。のねずみがはなをくんくん。くまがはなをくんくん。ちっちゃなかたつむりが、からのなかからはなをくんくん。みんな香りのするほうにかけていきます。さて、そこでみつけたものは?
あたたかなきいろと、漆黒の墨の色。そして静かな白。たったこれだけの色で表現された世界。
シンプルで美しい絵本。