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なにげない言葉のやりとり。たいして記憶に残るものではないいつも
のこと。たわいもないこと。
それが、10年、20年たって、記憶がろ過されていって、自分の中に
何がどうして、残っていくのでしょうか。
なくなっていく記憶。残っている記憶。どちらもが、私を作っているの
です。
弟たちとの日々を、交わした言葉を、はっきりと覚えてはいないけれ
ど、きっとこんなことが、日々繰り返されていたんだろうと思うのです。
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『にいさんといもうと』 シャーロット・ゾロトウ文 メアリ・チャルマーズ絵
矢川澄子訳 岩波書店 819円
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あるところに、にいさんといもうとがおりました。「おまえのキャンディーもらった」「おまえのあたまに、たまごぶっかけちゃおう」にいさんは、いもうとをからかってばかり。いもうとは泣いてばかり。
ある日のこと、いもうとはひとりで絵をかいていました。にいさんがいつもみたいに、からかいにやってきますが・・・。
仲がいいのか、悪いのか。けんかしているような、たわむれているような。こんな時間を過ごせる間は、たっぷりと浸ってほしいものです。それは、かけがえのないものだということを、この本はそっと耳打ちしてくれているようです。