・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 夕方の空に、小さなこうもりが飛んでいました。
子どものころ、夏の日の暮れになると、家の前で
よくこうもりを眺めていたものです。
こねずみのような、ふわふわした体に羽を持つ、不思議な生き物。
人の暮らしに近しい生き物なのに、どこかミステリアスですよね。
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『詩のすきなコウモリの話』 ランダル・ジャレル作 モーリス・センダック絵
長田弘訳 岩波書店 1890円
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あるところに、淡い茶色のちいさなコウモリがおりました。コウモリは昼間眠っているものなのに、このコウモリだけは昼間の世界を知っていました。
あるとき、見たものを詩にして、仲間に聞かせようとするのですが相手にされません。
仲間からはなれて、詩を聞いてくれる友達をさがすコウモリは、ジャレル自身なのかもしれません。
美しい世界をすくいとったような長田さんの訳も素晴らしい。