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普段、何気なく口にする言葉、何気なくするしぐさ、あたりまえの日常。
そのどれもが、尊いものだということに気づくのは、
そうそうたやすいことではありません。
皮肉なもので、なくなってから、気がついたりするんですよね。
サソリに姿をかえた、男を見て、家族は、みんな逃げ出します。
だれも自分だと気づいてくれる人はいません。
最後に男は妻の前で、力なく言います。
「ぼくだよ、おまえのおっとが かえったよ」
妻はかがみこんで、サソリに言います。
「そのこえは まぎれもなく わたしのおっと」
男はどれだけ、うれしかったことか。
そうして、ふたりは砂漠に歩いていって、お茶をのんだんですって。
私は、たいせつなものの本質を、ちゃんと見ることができるかな。
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『サバクでおちゃを』 木葉井 悦子作 フレーベル館 1365円
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