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メリーゴーランド京都店より・・・本を読む日々

junzizi.exblog.jp

台所のおと

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 まだ、母の自転車の後ろに乗せてもらっていた頃、
がたごと道を走るとき、自転車のスタンドが、カタンカタン
たてる音が好きでした。
 その音は、弟たちから離れ、母を独り占めしている時の音。
記憶の中にずっと残っている、あの古びた赤い自転車と
私だけが知っている音。

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『台所のおと みそっかす』 幸田文作 青木奈緒編 岩波少年文庫 756円
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 人が立てる無意識の音というのは、知らず知らずのうちに、周りの人に届いていくもののようで、それが幸せな記憶と合わさっていれば、これほど密やかな喜びもないのではないでしょうか。
 『台所のおと』を読むたびに、「人のたてる音」がどれほど、近しい人にとって大切かを感じずにはいられません。
 幸田文の文章は、凛として、その空気にふれるだけで、背筋が伸びる思いです。

 
by merry-kyoto | 2008-05-09 17:41
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