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子どもの頃の家は、なんでもお父さんが一番でした。一番大きなお魚、
一番おいしそうな果物。子どもたちはもらえないケーキ。
お父さんにしかられると一番怖かったし、お父さんが機嫌がいいと、
それだけでうれしかったものです。
ある日、友達の家に遊びに行って、びっくりしました。そこではお母
さんと子どもたちが一番だったのです。お父さんがお茶を入れたりして
くれるのです。
私は、そのうちにお父さんが怒り出しはしないかと、ずっとどきどき
しっぱなしで、とても居心地が悪かったのを覚えています。
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『ねえ とうさん』 佐野洋子 小学館 1470円
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小さなくまの子は、とうさんが大好き。だって山のように大きいし、とっても力持ちなんですもの。くまの子は言います「ねえ、とうさん、ぼくとうさんの子どもでうれしいよ
すごくとうさんらしいもの」
とうさんは言います「おれは、ただ、くまらしいだけさ。くまだからね』
子どもに憧れられる大人ってかっこいいし、憧れる大人がそばにいることはとても大切なこと。無邪気なこぐまと堂々としたとうさんぐまの愛情溢れる物語。