人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

メリーゴーランド京都店より・・・本を読む日々

junzizi.exblog.jp

ムーミンママのお料理の本

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 お料理の成功の秘訣は、「いかに気分を盛り上げるか」
にかかっていると思います。料理上手や、くいしんぼうな
人が、うちにごはんを食べにくるとなると、しばらくはあれ
やこれやと、頭の中はぐるぐる。
 盛り付けや、彩り、「これは、鍋のまま出したら盛り上が
るかな」とか、演出まで考えていると、どんどん楽しくなっ
てきます。
 お客さんがきた頃には、味見という名目のつまみ食い
で、お腹はすっかり落ち着いているのですが、おいしそう
に、食べてくれている人の顔をみていると、本当に幸せ
なのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『ムーミンママのお料理の本』 サミ・マリラ作 トーべ・ヤンソン絵と引用文
                   渡部 翠訳 講談社 1890円
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ムーミンママのお料理の本_e0132895_12404413.jpg
 「とろけるような玉ねぎパイ」
 「はらぺこムーミンのじゃがいもグラタン」
 「夏のパーティーのさくらんぼタルト」
なんてすてきな名前なんでしょう!
 「ご飯パイナップル」や「往復ビンタ」なんていう、想像もできないような、お料理まで登場します。
 まずは、「お料理をする人のこころえ」をよく読んで、さあ、好みのレシピに挑戦しましょう。
 やさしいお料理には、目印に「大笑いミイ印」がついていますよ。
 各ページに織り込まれた、ムーミン谷の物語にも心躍ります。

 「すべての楽しいことは お腹にいいのですよ」
               
# by merry-kyoto | 2008-03-15 17:05

ヘリオさんとふしぎななべ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 姪っ子が4歳くらいのとき、突然ちょっといたずらっぽい
目つきで、「なあ、ハラへリオさん」と言ったのです。一瞬
なんのことかわからずにいると、「なあ、しっとるやろ、
ハラへリオさん」 「あ!この前あげた絵本のことや」と私
が言うと。やっと満足そうな顔になりました。
 秘密をわけあった仲間のような、特別な空気に、わたし
も姪っ子も、ちょっとうれしくなったのでした。 
 同じ本を読んでいると、思わぬところで、こんな素敵な
時間が訪れます。今でもあの時の彼女の目は、忘れら
れませんもの。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『ヘリオさんとふしぎななべ』 市居みか作 アリス館 1365円
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヘリオさんとふしぎななべ_e0132895_18405428.jpg
 ハラ・ヘリオさんという名前の、貧しいえかきがおりました。
 あるとき、パンを買いにでかけたヘリオさんは、不思議なおなべの絵を買いました。パンと同じ値段だったのです。おかげでおなかはぺこぺこ。
 家に帰って、絵を飾ろうとすると、絵の裏から、ふしぎなおふだのようなものが出てきて・・・。
 ちょっぴり怖くて、一度読んだら忘れられない不思議なお話です。どこかでおなべの絵をみかけたら、気をつけてくださいね。だって、今どこにあるのか、誰もしらないらしいですよ。
# by merry-kyoto | 2008-03-14 18:44

はなを くんくん

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 仕事を終えた帰り道、ふと空を見上げると三日月が出てい
ました。ずいぶんあたたかな夜で、帽子を店に忘れてきてま
うほど。
 「今度こそ春だ」とひとりごちてみると、どこからかあの、甘く
濃い香り。沈丁花の花の香りです。
 うれしくなって、いっぱいに香りを吸い込んで、また自転車を
走らせました。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『はなを くんくん』 ルース・クラウス文 マーク・シーモント絵
            きじまはじめ訳 福音館書店 1050円
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はなを くんくん_e0132895_17215858.jpg
 ゆきの中、森の動物たちは眠っています。
木のなか、つちのなか。
 すると、どこからかいい香りが。のねずみがはなをくんくん。くまがはなをくんくん。ちっちゃなかたつむりが、からのなかからはなをくんくん。みんな香りのするほうにかけていきます。さて、そこでみつけたものは?
 あたたかなきいろと、漆黒の墨の色。そして静かな白。たったこれだけの色で表現された世界。

 シンプルで美しい絵本。
# by merry-kyoto | 2008-03-13 17:25

いえ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 3日ほど、家を留守にしていました。出かける前にいつも
思うことは、気持ちよく帰ってこれるように、すこし掃除して
おこうということです。
 冬寒くても、夏暑くても、古い家が好きで、暮らしだすと、
とたんに愛着がわきます。ペンキを塗ったり、カーテンをつ
けたり、ちょっとしたことで快適に暮らせるように、知恵をし
ぼって、あれやこれやするのは、楽しいものです。
 私はどんな家にだって、快適に心地よく暮らす自信があ
ります。そういう生活力には長けていると思うのですが・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『いえ』 片山令子文 片山健絵 ビリケン出版 1365円
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いえ_e0132895_16402124.jpg

 ドアはうまく閉まらない、部屋の中は薄暗くて、寒い。のうさぎさんは自分の家が大きらいです。どこかもっといい家はないかなと、考えているとき、家がとても汚れていることに気がつきます。ドアをきれいにふいてあげると、不思議なことにすーっとドアが閉まるではありませんか。  
 すっかりきれいに掃除をし終わった部屋は、見違えるようになりました。
「ほーらね。いえが目をあけたよ!」
 なんとも自分勝手、そしてマイペースな愛すべきのうさぎさん。他の5冊も見逃せません。
 
# by merry-kyoto | 2008-03-12 18:47

おじいちゃん

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 わたしのおじいちゃんは、喫茶店のマスターでした。
白いシャツに蝶ネクタイをしめて、それはそれは、かっこ
よかったものです。
 毎朝、ミルクをレンジであたためて、お砂糖を入れて飲
んでいました。私が泊まりにいくと、ハムエッグをつくっ
てくれました。わたしを呼ぶときいつも「じゅんよ」と言いま
した。店には、ビートルズの絵が飾ってあり、レコードがた
くさんあったのに、おじいちゃんはAMラジオを聴いていま
した。すずめが大好きで、パンの耳を袋にいれて、あげて
いました。鳩が来るとおっぱらっていました。
 あの店のコーヒーの香り、木の床のきしむ音。ぜんぶ、
次々とよみがえって、溢れてきます。
 この本は、そんな魔法をもっています。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『おじいちゃん』 ジョン・バーニンガム作 ほるぷ出版 1377円
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

おじいちゃん_e0132895_13545685.jpg
 おじいちゃんと、孫の女の子。ふたりは仲良しです。けんかもします。おじいちゃんは、女の子と過ごす時間をこの上もなく、慈しんでいるようです。
 女の子は、きっと大人になってから、そのことに気づくのでしょう。おじいちゃんがいなくなってから、気づくのでしょう。
 自分の中にある、静かで特別な時間がつまった引き出しを、ときどき開けるでしょう。
 バーニンガムの淡い色彩と、やわらかな線が、ふたりの時間を包みこんでいます。
# by merry-kyoto | 2008-03-08 13:56